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アナリストの視点(ファンド)

雨にも負けず、風にも負けず…資金流入が続く“実力”ファンドに迫る

2017-05-18

 資金流入が継続しているファンドに注目したい。世界の金融市場は、この3年程だけでも、利上げなど米国の金融政策を巡る動きや中国人民元安に端を発した世界同時株安、英国のEU(欧州連合)からの離脱決定(Brexit)や米大統領選などを受けて激しく変動してきた。投資信託業界でも、「グロソブ」、「海外REIT」、「ハイイールド」、「AI(人工知能)」など、人気テーマが次々と現れ、主役交代が起きてきた。今後も、世界の金融市場は変動し、投資信託の世界では新たなテーマが現れ、話題を集めることであろう。

 目新しいテーマを追いかけるのも悪くはない。ただ、テーマは移ろいやすく、人気が低下するリスクもある。長期的に安定した投資を行う観点からは、外部環境が変化する中でも、安定して資金が集まるファンドが評価されよう。コンスタントな資金流入は、金融庁の「長期・積立・分散投資に資する投資信託に関するワーキング・グループ」が、積立NISAのアクティブファンド選定基準の一つとして挙げており、今後注目が高まるとみられる。

バランス型が多数占める

 2017年4月末時点の国内籍ファンド(※1)の中から、資金流入が継続しているファンドを調べたところ、1年継続しているファンドは214本、以下、2年継続65本、3年継続39本、4本継続7本となった。5年継続はなく、最長は、「財産3分法ファンド(不動産・債券・株式)資産成長型」と「三菱UFJ プライムバランス(8資産)(確定拠出年金)」で、ともに4年4カ月であった。また、各期間の該当ファンドをモーニングスター大分類に基づいてグループ分けしたところ、いずれの期間においても「バランス型」の本数が最も多かった。株式や債券、REITなど複数の資産に分散投資するバランス型は、特定の資産のウエイトが高いファンドに比べて、価格変動リスクが小さくなる傾向がある。相場環境の変化を受けた換金売りのリスクが小さく、継続して資金が流入していると思われる(図表1)。

※1 国内公募追加型株式投信(確定拠出年金及びファンドラップ専用、ETF含む)

図表1:各期間の資金流入継続ファンドの本数とバランス型の本数

図表1:各期間の資金流入継続ファンドの本数とバランス型の本数

出所:モーニングスター作成

資金流入傾向が続く3年流入継続ファンドをピックアップ

 モーニングスターのレーティング付与基準である3年を踏まえて、以下では、資金流入が3年継続したファンド39本について見ていきたい。

 まず、3年継続ファンド39本のうち、足元で資金流入傾向が強まっているファンドを取り挙げる。具体的には、(1)3年間の月平均流入額、(2)2017年1-4月の月平均流入額を算出し、2017年1−4月の月平均流入額が3年間の月平均流入額を上回る((2)−(1)がプラス)のファンドを抽出すると22本となった。このうち、ファンドラップ専用の2本を除いた20本が以下のファンドである(図表2)。

図表2:足元でも資金流入が続く3年流入継続ファンド

ファンド名 カテゴリー名 3年リターン
(年率)
%ランク レーティング
野村 インド債券ファンド(毎月分配型) 国際債券・エマージング・単一国(F) 9.62% 6% 5
しんきん 世界アロケーションファンド 安定 4.59% 10% 5
スマート・ファイブ(毎月決算型) 安定 4.30% 14% 4
東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型) 安定 4.19% 16% 5
ファイン・ブレンド(毎月分配型) 安定 4.17% 17% 4
〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ 外国株式インデックスファンド 国際株式・グローバル・除く日本(F) 8.33% 22% 4
三井住友・DC日本株式インデックスファンドS 国内大型ブレンド 11.57% 26% 4
野村 インデックスファンド・内外7資産バランス・為替ヘッジ型 バランス 7.03% 26% 5
〈購入・換金手数料なし〉ニッセイ 外国債券インデックスファンド 国際債券・グローバル・除く日本(F) 0.94% 27% 4
みずほ 豪ドル債券ファンド(年1回決算型) 国際債券・オセアニア(F) -0.64% 27% 4
ダイワ・インデックスセレクト 日経225 国内大型グロース 11.83% 34% 3
EXE-i 新興国株式ファンド 国際株式・エマージング・複数国(F) 4.50% 36% 3
ダイワ・インデックスセレクト新興国株式 国際株式・エマージング・複数国(F) 4.37% 36% 3
DC新興国株式インデックス・オープン 国際株式・エマージング・複数国(F) 3.80% 44% 3
三菱UFJ DC新興国株式インデックスファンド 国際株式・エマージング・複数国(F) 3.74% 47% 3
ダイワ・インデックスセレクト 日本債券 国内債券・中長期債 2.03% 65% 2
ニッセイ グローバル好配当株式プラス(毎月決算型) 国際株式・グローバル・含む日本(F) 4.75% 66% 3
ニッセイ 豪州ハイ・インカム株式ファンド(毎月決算型) 成長 4.88% 69% 2
野村DC運用戦略ファンド 安定 1.16% 73% 2
三菱UFJ DC新興国債券インデックスファンド 国際債券・エマージング・複数国(F) -0.94% 75% 3

※ ファンドの並び順は「%ランク」の昇順に基づく
※ 「%ランク」はファンドがその属するカテゴリー内で上位%であるかを示す。数値が小さいほど上位となる
出所:モーニングスター作成

 次に、3年トータルリターンを見ると、「野村インド債券ファンド(毎月分配型)」、「しんきん 世界アロケーションファンド」、「スマート・ファイブ(毎月決算型)」、「東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)」、「ファイン・ブレンド(毎月分配型)」の5ファンドがカテゴリー平均内で上位(%ランクが小さい)となった。これら5ファンドの2017年4月末時点のモーニングスターレーティングは、「野村 インド債券ファンド(毎月分配型)」、「しんきん 世界アロケーションファンド」、「東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)」が最上位の5ツ星、「スマート・ファイブ(毎月決算型)」、「ファイン・ブレンド(毎月分配型)」は4ツ星となった。いずれもリスクとリターン両面において優れた運用実績を挙げている。なお、国際債券型の「野村 インド債券ファンド(毎月分配型)」以外はいずれも「バランス型」。バランス型の優位が目立つ。

 米トランプ政権の政策実行力に対する懸念が広がっているほか、シリア、北朝鮮を巡る地政学リスクもくすぶっており、世界の金融市場の先行き不透明感は拭えない。投資信託市場でも、様々なテーマを持ったファンドが脚光を浴びることであろう。ただ、その中でも、外部環境に対する耐性に優れ、ブレの小さいこれらのファンドを、長期安定運用の柱候補として押さえておきたい。

(武石 謙作)

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